“接待ゴルフ”という言葉はもはや死語となりました。不動産業など一部の業種を除いて、ゴルフがサラリーマンの必修科目であった時代は終わったのではないでしょうか。日本生産性本部の「レジャー白書」によると、2015年ゴルフ場の市場規模は9000億円を割り込みました。20年前の半分以下となっています。
こうしたなか、「人気低迷とともに割に合わなくなってきた」(関係者)と言われているのが、ゴルフツアーのスポンサー企業です。ゴルフの場合、冠スポンサー名がツアー名となります。例えば、「ダンロップフェニックストーナメント」、「カシオワールドオープンゴルフトーナメント」といった具合です。テレビ中継や、スポーツニュースなどで社名が連呼され、さぞ費用対効果が期待できそうなものですが、賞金総額の倍近くかかると言われている一回あたりの運営費に加え、社員をボランティアとして派遣するケースもあります。スポンサー企業の負担は大きく、毎年スポンサー企業内で撤退が検討されるツアーも少なくありません。
それ故、ツアー運営サイドからすると、スポンサーになってくれる企業の存在は大変ありがたく、当該企業が多少の不祥事を起こそうとも、代わりのスポンサーが見つかる可能性が薄いため、ツアー運営サイドからお断りすることができないのが現状です。放置すれば、ゴルフ自体のイメージダウンに繋がるかもしれませんが、背に腹は代えられません。
過去を振り返れば、御曹司が外国カジノでグループ会社の資金を使い込んだ大王製紙の「大王製紙エリエールレディスオープン」、グループの創業者が東京地検特捜部により消費税法違反の罪で在宅起訴された「ほけんの窓口レディース」、巨額詐欺事件により破産した近未來通信の「近未來通信クイーンズオープンゴルフトーナメント」、架空循環取引が発覚し最終的にJTに買収された加ト吉(現:テーブルマーク)など、問題企業を例にあげればきりがありません。
一方で、スポンサー難とはいえ、費用対効果は別として、カネに糸目を付けないゴルフ好き経営者も存在するのもまだ事実です。有名人の名前を入れるために数千万円の費用を捻出したりするケースもあります。
こういった企業の力を借りなければツアー運営がままならないというのが、現在のプロゴルフツアーの悩みです。さらには、女子プロゴルフツアーの場合、女子プロがドレスアップして招待客を接待する前夜祭が存在します。それがスポンサー企業の目的とみられることもあります。ゴルフ人気が回復しスポンサー難が解消しない限り、プロゴルファーがスポンサー企業に振り回される日々は続きそうです。