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バスガイドさん消滅の危機

“バスガイド”が子供たちのなりたい職業だったのは今はもう昔のことなのかもしれません。高等学校を卒業する若者たちに対する選考および採用内定が、9月の第二週ごろスタートし、9月末までの2週間の間に採用内定を出すのが通例となっています。しかし、希望の人数に届かない企業ばかりでした。「徐々にバスガイド希望者が減ってきたが、昨年は一層ひどかった」と観光バス運行会社役員は振り返ります。

日本バス協会によると、平成26年7月末時点でのバスガイド数は、268社で3,802人となっています。5年前の平成21年7月末時点では4,901人(272社)であったことから、わずか5年で1000人以上の減少となっているのです。
背景には、平成12年に実施されたバス事業の規制緩和があります。それまでは大型観光バスのワンマン運行が許可されておらず、車掌の同乗が義務づけられていました。その車掌の役割をバスガイドが果たしていたわけですが、規制緩和によって運転手のワンマン運行が認められるようになりました。バスガイドはオプション扱いになり、リーマンショック以降利用者側も経費削減の観点からオプションを注文しなくなったという訳です。

オプションの注文が入らなくなったので、今の10代がバスガイドの姿を見ないで育ってしまいました。その結果、バスガイド希望者が激減しているということです。某有名バス会社では、現在採用活動中の2017年4月入社希望者がわずか数人。「10年ほど前と比べると20分の1程度になってしまった。というより、数名しか希望者がいなかったことが何よりも驚きです」と同社の採用責任者は言います。“バスガイド=美人”という世間的なイメージがあった時代もありましたが、今は「容姿で選ぶなんて夢のような話です・・・」と続けます。容姿で採用可否を決めるのは当然問題がありますが、そんな余裕もない現状なのです。

バス会社側が、バスガイド需要の減少とともに新卒採用を減らしてきたこともありますが、従業員数1000人を超える大手観光バス運行会社ですら、2015年実績で6人となっています。その結果として、若い人が入社してこないので、バスガイドの高齢化が著しいとのことです。まさにバスガイド消滅の危機と言えるでしょう。これをチャンスととらえ、美人バスガイドの在籍をウリにしている商魂たくましいバス会社も設立されています。このままでは、日本の文化の一つとも言えるバスガイドが、コンパニオン化していく可能性さえあります。

しかし、逆に考えれば、バスガイドを希望する人にとっては、チャンスが大きい時代と言えるでしょう。

mio.kawana :