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マイナンバーで資産が丸裸?!

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、いわゆる「マイナンバー法」に基づく“番号”の指定が始まってから1年半が経過しました。マイナンバーは浸透しているのでしょうか。
同法は、個人には個人番号(マイナンバー)、法人等には法人番号の二種類を指定し運用していて、導入の目的はともに「公平・公正な社会を実現するため」とのことです。言い換えれば、この番号を導入し個人や法人等の情報をひも付けることにより、脱税や生活保護の不正受給を防ぐことができるしているわけです。

手始めに、企業は、従業員のマイナンバーを給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、税務署や市町村へ提出することを求められています。平成28年1月の給与支払いから適用され、平成29年1月末までに提出する源泉徴収票からです。証券会社・保険会社が作成する支払調書、講演料・原稿料の支払調書などにもマイナンバーの記載を義務づけ、ひも付け作業が着々と進んでいます。しかし、完全な不正防止を目指すのであれば、全ての金融機関口座に番号のひも付けを行わなければならないのですが、こちらは今一つ進んでいない状況です。

政府は、マイナンバーを預金口座に適用する法改正案を閣議決定し、平成30年から“任意”で適用する方針を打ち出しています。あと1年です。その後の“義務化”の可能性にも言及しています。これにより不正防止に近づくと想定されますが、要となる金融業界はこの動きに対し、実はかなり後ろ向きという話も聞こえてきます。「新規口座開設の際にマイナンバーを必須とするのであれば現実的であるが、既存口座には多くの休眠口座を含まれており非現実的」と地銀幹部は言います。また、別の金融関係者からは「メガや地銀クラスであれば、システム改修に対応できるだろうが、信金・信組レベルでは厳しい」との声も。
システム投資が壁となり計画が頓挫するとなると、警察庁と協力して構築する構想があった「反社データベース」と重なります。さらには「反社データベース」構想でも、金融業界は「全てシロクロつけられては、商売にならない」との本音も漏れ伝わってきていたように、マイナンバーで自行口座が全て明るみに出ることを良く思っていない関係者も多いようです。

もっとも、行政側のシステム開発だけで3000億円以上の税金を費やしているとみられる制度だけに、失敗は許されるものではないですね。。

mio.kawana :