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東京都最低賃金は生活保護費よりも低い!?

生活保護の現状とは

厚生労働省が5月10日に発表した「被保護者調査(平成29年2月分概数)」によると、平成29年2月時点の生活保護受給者は約214万人と相変わらず過去最高水準を維持しています。これに伴い、予算としての生活保護費も、国と地方を合わせると過去最高額水準を継続しています。歳出削減、経費削減が叫ばれるなか、増加基調を辿り続ける生活保護関連予算。地方紙政治欄には、軒並み「過去最大」や「過去最高水準」との文字が踊っています。

生活保護は日本国憲法第25条が保障する生存権に基づき、生活困窮者が健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。収入と厚生労働大臣が定める最低生活費を比較して最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。最低生活費を決定するうえで最も大きな割合を占めるのが生活扶助基準額でs。東京都区部に居住する標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)では17万2170円、高齢者単身世帯(68歳)では8万820円となります。ここに住宅扶助等を足し、児童扶養手当や年金などの収入を引いた額が年金支給額となります。都市部であれば、1世帯で生活保護を20万円前後受給することも可能なのが、今の日本の現状と言えます。
厚生労働省(東京労働局)が定める東京都の最低賃金は1時間あたり932円。20万円稼ぐには、215時間働く必要がある。しかし、労働基準法によると「使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」とあります。仮に、1ヵ月に20日、8時間、最低賃金で働いたとすると、1ヵ月に得られる収入は14万9120円。もちろん、「最低賃金、なおかつ一切手当なし」で就労するケースは考えにくいですが、この数字をみて働く気を失う人がいても不思議ではありません。

不正受給増加で生活保護費の見直しが迫られる

「資産を隠して生活保護をだまし取った」「偽名で就労し収入を得ながら生活保護をだまし取った」「親族に裕福な人間がいるにも関わらず生活保護をだまし取った」など、昨今、生活保護の不正受給発覚のニュースが後を絶ちません。また、生活保護受給者から不当に生活保護費を搾取する、いわゆる“貧困ビジネス”や、医療扶助の不正受給などの不正行為もなくなる気配がありません。

厚生労働省のまとめによると、発覚した生活保護の不正受給件数は、平成15年度には9264件でしたが、平成16年には1万911件と1万件を突破しました。その後も件数は伸び続け、平成22年度は前年度比28.5%の大幅増加で2万5355件となり2万件を突破しました。総額も約128億7400万円にのぼり、厚生労働省としても不正受給根絶のために何らかの施策を打たざるを得ない状況に追い込まれています。もっとも、この件数と総額はあくまで発覚した数字であり、水面下で不正受給している人はこの何倍もいるとみられています。「そもそも、なんだかの組織に属している人からの生活保護申請があった場合、あとでもめると面倒なので、ほとんどフリーパス」(関係者)という現状では、不正受給を発見できなくても無理はありません。
「生活保護費の削減」の提唱は「弱者切り捨て」と受け取られる可能性が高く、「選挙で不利になる」という理由などから国会等、公の場で議論されづらかったことが、ここまで不正受給を助長させた背景の一つと考えられます。しかし、消費税増税が叫ばれているように、財政が逼迫している日本において歳出削減は急務であり、生活保護費の見直しはもはやタブーではありません。

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