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    Categories: 危ない会社法令

ブラック企業VS労働基準監督署(上)

“ブラック企業”とは何でしょうか。「サービス残業を強要される」、「休暇が取れない」、「パワハラ、セクハラ、そしてマタハラ」、「毎日、上司から罵倒される、暴力を振るわれる」など、“ブラック企業”と呼ばれるための要件は多岐に渡りますが、一言で言えば「劣悪な労働条件で過重労働を従業員に強いている企業」ということになります。長引くデフレのなか、飲食店や小売業などでブラック企業が増殖しており、従業員がメンタルヘルスに陥ったり、最悪の場合、自殺してしまうといったケースにもつながっているのが現実です。

これに対し、行政側もそのブラック企業を野放しにしている訳ではありません。全国に約300箇所、労働基準監督署(以下、労基署)を設置しており、そのなかで約3200名の労働基準監督官がブラック企業の取り締まりを日々行っています。しかし、労働条件が一向に改善しないと感じている人は多いのではないでしょうか。「世間では“アベノミクス”の高揚感や東京オリンピックに対する期待感があるらしいが、私には何の関係もない」と零細工場の従業員が言うように、未だ中小零細企業の労働条件は厳しいのです。

労働基準監督署という組織とは

労働基準監督官には労働基準法等により、予告なく企業を訪れ事業場の立ち入り検査を自由に行い、帳簿・書類の提出を求めたり、経営者・労働者へヒアリングを行ったりする権限が与えられています。そして、法違反を認定し、悪質な業者については社名を公表し、最終的には送検します。「労基署がガサ入れに来た!」というのは、まさにこのことです。労基署は、毎年、1年間で約17万事業所へ立ち入り検査を行っています。

労基署が行う立ち入り検査には3種類あります。

  • 労基署側が違反行為の多い業界や労働者からの相談が多い業界に属する事業場に狙いを定めて行く「定期監督」
  • 労働者からのタレコミを元に行く「申告監督」
  • 過去に法違反が認定された企業(事業場)が是正しているかを確認する「再監督」

いずれの監督も予告なく事業所へ立ち入ります。イメージからしたら「労基署が違反企業を次々と摘発している!」といったところでしょうか。

 

→ (中)に続く

 

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