人は何年努力すれば、高いレベルの知識やスキルを獲得することができると言われていると思いますか? 熟達化研究の第一人者であるフロリダ州立大学教授エリクソン氏は、10年にわたる練習や経験が必要だとしています。いわゆる「10年ルール」です。また、10年以上にわたる熟達化の階段を4段階に分けています。
- 初心者における「手続き的熟達化」:経験がほぼない状態で、指導者から指導を受ける段階
- 一人前における「定型的熟達化」:自律して日常業務ができる段階、3~4年?!
- 中堅者における「適応的熟達化」:過去の経験や知識を使える段階、6~10年?!
- 熟達者における「創造的熟達化」:難問に対処できる段階
各段階を上がっていく際には当然伸び悩み、滞留する時期が存在します。その伸び悩んで進歩が止まっている状態を「キャリアプラトー」と呼びます。では、この「キャリアプラトー」を突破し、熟達化の階段を上がるためにはどうすればよいでしょうか? 一般的には5つの方法が有効だとされています。
- 観察学習(ロールモデルとなる人物を観察し記憶し、必要な時にそれを参考に行動すること)
- 他者との相互作用
- 経験の反復
- 経験からの帰納と類推
- メディアや業務に関する資料による学習
ただし、これら5つを実施していても人によって熟達化のスピードは異なります。挑戦性や柔軟性の有無、問題解決において過去の類似経験を探索し利用することができるか否かなどによって個人差が生まれます。
ゆえに、「10年ルール」という基準があるとはいえ、“何年たっても全く成長しない人”がいるというのは、仕方がない状態なのかもしれません。