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安い米には理由がある?!

2013年10月、イオンが「国産米使用」と銘打って販売していた弁当やおにぎり約1500万食に「中国産米」や、本来、米菓・味噌・醤油などに使用される「加工用米」が大量に混入していたことが判明しました。この産地偽装、および用途偽装を行っていたのは、三重県四日市市に本社を構える三瀧商事株式会社です。年商77億円(2013年3月期)を誇る老舗の米麦卸業者でした。

この偽装で問題となったのは、3年間で最大4386トンの産地偽装等(うち外国産791トン)を行っていながら、弁当製造工場もイオンも、そして監督官庁である農林水産省も、三瀧商事からの内部告発がなければ全く気づいていなかったということです。確かに産地証明や流通記録など存在したようですが、当然デタラメであったとのこと。「JAS法や食品衛生法等の法令遵守の徹底をお願いしてまいりました」とイオンはコメントを出していましたが見抜くことはできませんでした。「イオンに問題があるのではなく、こうした偽装は米自体を米流通の専門家が見てもなかなか見抜けない」と関係者は言います。

2008年に発覚した「事故米穀の食用転用事件」をきっかけに、米トレーサビリティ法が整備されました。これにより、日本国内を流通する米には産地表示明記が義務付けられましたが、この例のように、当事者からの内部告発がない限り違反はそう簡単に見つからないということです。また、ここまで悪質な事例でなくても、「値下がりした米を各地から集めたにも関わらず、ブランド米として売る」「色彩選別機等ではじかれた玄米(くず米)を安値で仕入れ、自社では色選をしないで精米し高値で売る」(米流通業者)という行為は無理な安値販売を行っている卸商などで密かに行われているといいます。さらには、三瀧商事も行っていた「加工用米」を「主食用米」として横流しする行為もあるそうです。「加工用米」は、政府によって米の生産調整(需給調整)のため戦略作物として位置づけられているものであり、2.0万円/10a(米500kg程度)の助成金も出ています。「加工用米」として生産し、「主食用米」として横流しすれば、助成金をもらえる上で、「主食用米」の価格で販売することができるのです。これがいわゆる、“ライスロンダリング”と呼ばれる行為です。

なぜ、このような行為が発覚せずにまかり通っているかというと、扱う商品が米なので、素人では見分けがつかないことが理由の一つです。また、農協などの協同組合や流通業者が複雑に絡み合う商取引にも関わらず、昔からの慣習として、同一県内のみで事業を行う米商(県域事業者)と県をまたいで事業を行う米商(広域事業者)では管轄が違うということも関係しているとみられます。前者は都道府県知事、後者は農林水産大臣です。そして、統計データは推定だったり、面積だったり、加工後の商品だったり・・・。統計データも基準がバラバラなため、データからも横流し量が浮かび上がるということはないのです。

消費者としては、あまりにも安い米には「当然、理由がある」ということを肝に銘じなければならないでしょう。

mio.kawana :