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    Categories: 人事部制度

高齢者ではなく高年齢者です。

厚生労働省の発表によると、日本の労働を担ういわゆる“生産年齢人口”(15歳から64歳)は、2013年では62.1%ですが、2060年には50.9%にまで減少すると予測されています。この結果、労働力が減少することは間違いなく、それを補う何かがなければ日本経済に悪い影響を与えることは間違いありません。そこで注目されているのが「高年齢者活用」です。

2012年8月に成立し、翌年4月に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改訂する法律」(「改正高年齢者雇用安定法」)がその象徴です。高年齢者の就労促進の一環として、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的としています。これにより、65歳未満を定年と定めている企業は、以下のいずれかの対応を行うことが義務付けられました。(2025年までは経過措置あり)

  1. 定年の引き上げ
  2. 継続雇用制度の導入
  3. 定年の定めの廃止

厳密に言うと、これらの措置は2004年の改正ですでに義務付けられていましたが、当時は「継続雇用制度の導入」に「労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可」という注記がついていました。2012年の改正ではその注記が廃止されました。つまり、事業主はいずれかの対応を行い、従業員に対して65歳まで雇用を約束する必要があります

もちろん、事業主側にもメリットはあります。「ノウハウの伝達」による若手社員のレベルアップです。特に製造業では、職人の技術の伝承や属人化されたノウハウの伝達が課題となっています。高年齢者の「キャリア形成」をサポートしながら、「ノウハウの伝達」を進めていく訳です
事業主側が高年齢者を活用するために押さておくべきポイントは以下の通りです。

活用方針を設定し、明確にしているか
・期待する役割を設定し、本人に伝えているか
・仕事内容や就労条件を整備しているか
評価処遇の仕組みが整備されているか
・意欲開発・能力開発の場を提供しているか
・活用の促進体制を整備しているか

なお、厚生労働省の担当者によると、同法の対象となるような年配の方の呼び名は、「高齢者」ではなく「高年齢者」となるそうです。ですから、「改正高年齢者雇用安定法」となります。その一方で、さらに年配の方を“後期高齢者”と呼んでみたり。こんなところにもお役所仕事のちぐはぐさが見て取れたりします。

mio.kawana :