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ブラック企業VS労働基準監督署(中)

投稿日:2017-05-22 更新日:

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実は、そこまで労働者の味方ではない労働基準監督署

しかし、違反認定率を見ると、ガサ入れがあっても送検どころか違反認定されないケースが多いことがわかります。従業員のタレコミを元に立ち入り検査をする「申告監督」をみると、2015年の数字で22,312事業所に立ち入り検査を実施して、15,782事業所を違反事業所と認定しています。違反率は70.7%です。逆に言えば、10件タレコミを元に立ち入り検査しても、3件は無罪放免となっています。

「違反認定できない一番大きな理由は、証拠がないことです。経営者は労働規約に則って業務に就かせているとし、労働者側は“口頭での指示”、“無言のプレッシャー”により、不利益を被ったと主張するパターンが多いです。そうなると、『言った、言わない』の世界になることが多く、違反認定するのが難しくなります。疲弊した労働者からの悲痛な訴え(タレコミ)が多いため、労働者側の主張の方が事実に近いと感じられることも多いですが、証拠がないと厳しいのが現実です」と現役の労働基準監督官は言います。当然、出退社記録(タイムカード)がなければ、労働時間の裏付けることはできません。また、「この商品が売れたら、今までの残業代を払う」、「この契約が取れたら、貯まっている有給を消化してもらう」といった日常のものから、「一年後に昇給させる」といったものが、約束通り実行されていないというタレコミがあるそうですが、口頭では何の証拠もなく動きようがないという実態もあるようです。

また、タレコミから立ち入り検査までに、下調べ等の時間を要するため、その間にタレコミに気づいた経営者が、企業が違反行為の是正をするケースもあると言います。代表的な例は、未払い残業代です。「立ち入り検査に入った時点で、すでに支払われていれば、監督での違反認定とはなりません。」(前出の労働基準監督官)

なぜ、このような“ユルイ”立ち入り検査を行っているのでしょうか。それは、労基署が、労働者の労働環境を守るべく違反企業を摘発するために存在する組織ではなく、労働基準法等の労働基準関係法令を円滑に運用するために存在する組織であるからと言われています。「法令遵守企業か、そうでないか」(厚労省職員)という視点のため、経営者からすれば、おとなしく立ち入り検査を受け入れ、万が一違反行為が発覚したとしても、素直に指導に従い是正すれば、社名と公表されることも、送検されるリスクも少ないのです。実は、労基署は、完全な労働者の味方ではありません。

→ (下)に続く

 

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